未生流の花 未生-古典花

古典ファイル I

 


一の一 七種竹花器飾り(真)

[二重獅子口、橋杭、二柱、手杵、曲真鶴(曲)、寸渡、獅子口](漆塗しゅみ竹)

蔓梅擬、山錦木、どうだんつつじ、五葉松、菊

 

基本となる七種竹花器の「鮟鱇」を「真鶴」に代えて組み合わした、家元好みの七種竹花器飾り。「曲真鶴」は「真鶴」の首が真っ直ぐではなく、曲がっている変化の竹花器である。

 

 

一の二 七種竹花器飾り(真)

[二重獅子口(用添流し)、橋杭(控流し)、二柱(体後添流し)、手杵(体流し)、鮟鱇(体前添流し)、寸渡(留流し)、獅子口(用流し)](真竹)

エニシダ、ジョウロウホトトギス

 

七種竹花器に七曲を組み合わせたもの。

 

 

一の三 七種竹花器飾り(真)

[二重獅子口、橋杭、二柱、手杵、鮟鱇、寸渡、獅子口](真竹)

蔓梅擬、白玉椿、エニシダ、錦木、葉蘭、なでしこ、錦木、エニシダ、蔓梅擬

 

師から学んだ法を、さらに次の弟子へと伝承していく姿を現す「二重獅子口」、人を渡し導く法の橋をかたどった「橋杭」、イザナギノカミ(陽)とイザナミノカミ(陰)という男女一対の二神をかたどった「二柱」、天円地方の和合の姿を現す、上下同寸の「手杵」、清濁をあわせ飲み大海に通じる「鮟鱇」、上半分を「空」そして下半分を「風火水地」に五大を現し、宇宙の本体をかたどった「寸渡」、獅子のような気高い口が開いて法が説かれていく様を現した「獅子口」、以上の竹花器でもって基本の七種竹花器とする。

 

 

一の四 七種竹花器飾り(行)

[二重鰐口、けぬき、二重櫓、寿老、水虎、ひさご、鰐口](真竹)

山錦木

 

鰐のような細長く狭い口が二つ開いている「二重鰐口」、刺(内なる醜)を抜き取る道具をかたどった「けぬき」、弓を射たり遠方を見渡すのに、材木を高く組んだ櫓である「二重櫓」、上筒が下筒より長く、七福神の一人で長寿を司る寿老人の姿を現す「寿老」、頭に皿を背中に甲羅をもつ河童の姿をかたどった「水虎」、邪の気を中に吸収して浄化させる働きがあるとされる瓢箪の形をくり抜いた「ひさご」、鰐のような口が開けられた「鰐口」。仏閣のお堂正面(神社の社殿にあるときも)に吊り下げられ、参詣者が綱を振って打ち鳴らす、円形の大きな鈴のことを鰐口という、その鈴の下部と側面に、鰐のような細長く狭い口が開けられていることから「鰐口」と称された。「二重鰐口」を「三重獅子口」に代えることもある。真行草の三曲のうちで、同じ変化のものを入れ代えたりと、若干の変化を加えても構わない。

 

 

一の五 七種竹花器飾り(草)

[雁門、真鶴、天蓋、五重切、丸玉垣、登猿、旅枕](真竹)

山錦木

 

宮殿を飛び越えることができない雁が通り抜けられるようにと、秦の始皇帝が空けたという伝説の穴を「雁門」といい、仏門を現すこともある。上部に抜き通した穴をもつ「雁門」、北方より渡ってきて日本で越冬する、丹頂鶴よりやや小さい「真鶴」、上筒が下筒より短く、虚無僧がかぶる笠をかたどった「天蓋」、五つの口が開けられている「五重切」、神社など聖域の周りを樹木や石柱を巡らして囲み、常世と現世の境界を引いた玉垣を見立てて、寸渡の花入れに円をくり抜いた「丸玉垣」、樹木をするすると登っていく猿の姿を想わす「登猿」、旅人が旅の途中で手持ちの花入れを枕代わりに使ったことに由来する「旅枕」。

 

 

一の六 七種竹花器飾り(草)

[五重切、真鶴、登猿、天蓋、丸玉垣、雁門、旅枕](真竹)

あけび、なでしこ、りんどう、てっせん、錦木、シンフォリカリポス、萩、紫式部、蓮、秋明菊、山錦木、萩、水引草

 

草の七種竹花器飾りは特に定まった配列はなく、また真行草の三曲のうちで同じ変化のものを入れ代えたり、敷板花台垂撥なども自由に用いて、変化に富みながら組み合わせて構わない。

 

 

一の七 七種竹花器飾り(草)

[天蓋、三重櫓、寸渡、二重獅子口、真鶴、三重丸玉垣、獅子口](根付しゅみ竹、すす竹)

櫨、蔓梅擬、杜若

 

一の二十 七種飾り(真)

[銅器 : 広口、薄端、寸渡、卓(香炉・火道具建・火箸・灰押・香合・広口)、寸渡、薄端、広口]

錦木、なでしこ、五葉松、伽羅木、しらさぎかやつり(別名:しらさぎすげ)、伽羅木、五葉松、太藺、杜若、沢瀉

 

中央に卓(ここでは杭州棚)を置き、卓の上には香炉(襷形か鼎の類)を置いて香を焚き、香炉の後(ここでは右)に火道具建を、火箸で灰押をはさんで前後に立てて置き、香炉の前(ここでは中段)に香合を、卓の下には細口の器などを用いて花を挿ける。卓の左右には、それぞれ八角の花器(真の銅器)を置き合わせて、「床の真の飾り付け」とする。このとき、正式には真の花台を用いて、掛け物も三幅対のもの、真ん中は帝王聖人賢人もしくは神仏の像の掛け物を掛ける。さらに大きな床飾りをするときには、その左右に薄端、そして広口と、花器をさらに増やして置き合わせる。 ここでは、薄端・寸渡・広口の銅花器(真)に、卓に用いる香炉・火道具・香合・花器を合わせて、真の七種飾りとする。

 

一の二一 七種飾り[剛から柔 : 真(剛)~ 草(柔)]  

[根付竹花入(草)、和物籠(草)、竹花入(草)、薄端(真の真)、八角銅器(真の真)、唐物籠(草の真)、銅広口(真)]

杜若、紫式部、エニシダ、葉蘭、エニシダ、すすき、女郎花、桔梗、杜若

 

「真の真」とされる格調高い薄端と八角銅器、力強い姿の唐物写しの銅器に、草の器であるものの「草の真」として緻密に編まれた唐物籠。それに対して、自然に生じた景色をそのままに持つシュミ竹の竹花入、作り手の息吹を感じ取ることのできる作為のない和物籠。唐物を尊ぶ趣向(剛、唐物荘厳)から、日本古来よりの冷え枯れた美(柔、枯淡の美、侘び)を尊ぶ意識の回帰。

 

一の二二 七種飾り[真 - 行 - 草]  

[根付竹花入(草)陶器(行)竹花入(草)薄端(真)磁器(真)銅器(真)白磁広口(真)]

ほととぎす、石榴、どうだんつつじ、松、秋明菊、伽羅木、シャジン、桜たで、梅ばち草

 

真の花器である銅器と磁器、行の花器である陶器(土器)、草の花器である竹器(木器)と、花器を真行草の変化で捉えて組み合わせた七種飾り。花台も、中央より真行草と変化して用いている。

 

 

一の二三 七種飾り[草の変化(草の真 - 草の行 - 草の草)]

[唐物籠(草の真)、木器(草の行)、和物籠(草の行)、漆塗り竹花入(草の真)、根付竹花入(草の行)、青竹花入(草の草)、木胎漆器(草の真)]

牡丹、這柏槇(別名:そなれ)、じゅずさんご、りんどう、葉蘭(葉、出生葉)、老や柿、小菊、なつはぜ、さんきらい(別名:サルトリイバラ)、寒桜

 

作為のない和物籠を「草の行」、緻密に編まれた唐物籠を「草の真」として。古材でつくられた木器を「草の行」、木の素地(胎)に漆塗りをほどこした木胎漆器を「草の真」として。自然に生じた景色をもつ根付竹花入を「草の行」、漆で加飾した漆塗り竹花入を「草の真」、そして自然のままの姿をみせる青竹花入を「草の草」として。すべて「草」の花器を用いて、そのなかで「草の真」「草の行」「草の草」という変化を、それぞれに捉えて組み合わせた七種飾り。 (参考:竹や蔓を編んで器形にした素地に、漆塗りしたものを籃胎漆器という。)

 

 

一の三十 書院飾付(真)

[禁忌三十六ヶ条の巻、筆、筆架(筆置)、筆筒、圧尺(文鎮)、硯、硯屏風、墨、水滴、筆洗、印 (喚鐘、鐘木、丸鏡 略)]

葉蘭(葉、出生葉)

 

合図にならす鐘である喚鐘を天井中央に釣り、床に近い上手の柱には丸鏡を掛け、下手の柱にはシュビ(鹿の毛の払子)や、鐘を鳴らす鐘木を釣る。花が主体の会ということで、ここでは喚鐘、鐘木、丸鏡を略している。

 

 

二の一 五管筒[五行(真竹)]

貝塚伊吹

 

中央に最も高い①の筒を、次に東西南北を現す②③④⑤の筒をそれぞれ四方の角に配して、中央の高い①の筒から、四方の景色を眺望するような面持ちで挿ける。理でなく、自然現象としての「五行」を現す。

 

 

二の二 五管筒[五行(孟宗竹)]

這柏槇(別名:そなれ)、黄金真柏

 

最も高い①の筒を後ろに置いて、②③④⑤の筒とでもって、五行の配置とする。四方の景色を眺望するような面持ちで挿ける。理でなく、自然現象としての「五行」を現す。

 

 

二の三 五管筒[山水(しゅみ竹)]

貝塚伊吹、なつはぜ、椿、藤袴、杜若

 

最も高い①の筒(山の木物)は遠景の景色を、②③の筒(里の草物)は山の裾野にある里の風景を中景として、④⑤の筒(川の水物)は谷川などの景色を近景として現し、「山里水」という自然の景色を移しとる。

 

 

二の四 五管筒[八重垣(ごま竹)]

伽羅木、蔓梅擬、柾、菊、なでしこ

 

①②③の筒を庭の垣根より外の景色として、④⑤の筒は庭の垣根の内の情景を現す。②の筒に高くそびえ立つ一本の立木を立姿に、そして①の筒に横たわって連なる遠山の連峰を見立てて横姿に、また③の筒に山の立木と並んで立つ低い木々を半立姿や横姿に挿ける。④⑤の筒には草花や庭の池に咲く水草などを挿ける。

 

 

二の五 五管筒[八重垣(亀甲竹)]

銀香梅、山錦木、伽羅木、りんどう、菊

 

 

二の六 五管筒[八重垣(銅)]

柾、蔓梅擬、貝塚伊吹、ピンポン菊、海芋(カラー)

 

 

二の七 五管筒[段杭(亀甲竹)]

杜若

 

川や池の岸辺に石垣を築くときの補強として打ち込まれた杭が、長い年月を経て風雨にさらされ、朽ちて不揃いになっていった、水辺の趣ある風情を現したもの。

 

 

二の八 五管筒[段杭(亀甲竹)]

葉蘭

 

 

二の九 五管筒[稲妻(すす竹)

山錦木

 

大空にきらめく稲妻の景色を移しとったもの。①②③④⑤の筒と花が上下の流れでもって、稲妻の縦への広がりを捉えた筒の置き方。

 

 

二の十 五管筒[稲妻(ごま竹)]

 

大空にきらめく稲妻の景色を移しとったもの。①②③④⑤の筒と花が左右の流れでもって、稲妻の横への広がりを捉えた筒の置き方。

 

 

二の十一 五管筒[飛留(銅)]

這柏槇(別名:そなれ)、伽羅木、つつじ、椿、銀葉(別名:おおうらじろのき、やまなし)

 

①②③の筒を天地人(体用留)の三角に置き合わせ、それとは一定の空間をあけて④⑤の筒を置き、「飛留」として捉えた筒の置き方。

 

 

二の十二 五管筒[飛留(しゅみ竹)]

葉蘭

 

 

二の十三 五管筒[不二(真竹)]

斑入り立ち柏槇(三光杉)、伽羅木、菊

 

①の筒を山頂として、②③④⑤の筒を左右に置き合わせ、富士などの山の情景を見立てる。

 

 

二の十四 五管筒[天の原(すす竹)]

さんしゅゆ

 

「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」という、唐に渡った阿倍仲麻呂が詠んだ句に想いを交わせる。広々とした大空を、はるかに仰ぐと月が美しく輝いている、それは私の故郷、春日の三笠山にかかる月と同じ月なのだ。時代と場所を越え、美しい月を想わす花を挿ける。

 

 

二の十五 五管筒[初霞(真竹)]

梅、鬼縛、翁草、貝母、おだまき、勿忘草

 

新春の野山にたなびく霞。その初霞を通して、花や草木がちらちらと顔をのぞかせる、春の情景を見立てる。

 

 

三の一 三管筒[太極]

伽羅木

 

天地、陰陽という両極のものが分かれる以前(父母未生以前)にあった「太極」、根源的な状態を現す。よって、三つの筒を正面から捉えたときに、一つの筒に見えるように真直ぐに置き合わせる。それぞれの筒に挿ける花も、「太極」の理に通じ、一に帰するような心持ちで一体感をもたせて挿ける。

 

 

三の二 三管筒[両儀]

伽羅木、赤芽柳

 

根源である「太極」から、陰陽という二元対立の世界に分かれた「両儀」の状態を現す。この相対的な関係が生じることで、万物万象は「働き」という作用的な要素をはらむこととなる。天地が並び立つように、陽性である①天の筒と、陰性である②地の筒を、分離した状態として間を空けて置き合わせ、陰陽それぞれ違う種類の花を挿ける。 ①天と②地の筒の前には、③人の筒を隙間を空けずに、少し重ねて置き合わせる。③人の筒は、未だ生じていない「未生」の状態を現すため、花を挿けずに水だけを張っておく。もしくは「陰陽未分」を現すために、主位客位の区別などもつかないような「未生の花」を挿ける。

 

 

三の三 三管筒[三才](主位)

伽羅木、赤芽柳、葉蘭

 

「天地人」という「三才」の現象を現す。「太極」(根源)は「両儀」(天地・陰陽)に、そして三才(天地人・陰陽和合)へと変化する。この天地人という「三才」は、万物万象の姿が完成された状態である。この「三才」が開いたことで、「五行」へと転じ、更にさまざまな現象が生じていくこととなる。①天②地③人の筒を、正三角形に正しく置き合わせる。このとき、それぞれの筒に間を空けても構わない。陰陽消長の理を現し、陽性である①天の筒には、陰性である横姿の花を挿けて「陽中陰」とする。一方、陰性である②地の筒には、陽性である立姿の花を挿けて「陰中陽」とする。③人の筒に挿ける花は、万物が見せる多種多様な相を現すために、立姿や横姿と陰陽さまざまに変化させる。全体でもって、自然の多様な現象を感じ取れる花の姿とする。

 

 

三の四 三管筒[右旋 左旋]

錦木、貝塚伊吹

 

「右旋」「左旋」の置き方は「活動」を現す。天は陽であり、そのために左旋する。一方、地は陰であって右旋する。東洋で捉えた「左旋」は、現在の西洋的な見方での「右回り」である。①天の筒から、②地の筒そして③人の筒へと現在の「右回り」に置き合わせた状態が「左旋」となる。筒の置き方が左旋(客位・陽性)であれば、挿ける花は右旋(主位・陰性)とする。すなわち、①の筒には主位の花を挿け、全体においても主位の花が過半数を占めるようにする。万物活動の姿を現すのに、動静・強弱と変化をつけて花を挿ける。

 

 

三の五 三管筒[左旋(雲紋竹)]

石榴、実葛(別名:美男葛)、ほととぎす

 

 

三の十 常盤三管筒[子持ち三管筒(真竹)]

エニシダ、テッセン

 

三管筒の①の筒に中窓、そして②の筒には洞を持ち、合わせて五カ所に花を挿けることができる三管筒。変わることなく、古いもののなかから、常に新たなものが内に芽生え生じていく様を現し、その姿から「子持ち三管筒」ともいう。

 

 

三の十一 常磐三管筒[子持ち三管筒(亀甲竹)]

貝塚伊吹、菊、リューカデンドロン

 

 

三の十二 常盤三管筒[子持ち三管筒(しゅみ竹)]

寒桜   抜け生け

 

 

三の十三 常盤三管筒[子持ち三管筒(すす竹)]

伽羅木、しろつめくさ、椿

 

 

四の一 轡[御所車]

なつはぜ、牡丹

 

「御所車」は、平安時代に貴人が乗っていた牛車を見立てたもの。まず、タコガシラの輪の先が外側に向くように、轡のカガミを両方とも垂直に立てて御所車の車輪とする。このとき、御所車を引く牛とつなげるためのハミガネを、三角の形でもって前方外側に飛び出すように、かつ先端が下に向くようにして組む。そして二つのヒキテを、それぞれカガミ(タコガシラ側、後方の上部穴)の穴から内側に通して、向こうがわのカガミ(ハミガネ側、前方の上部穴)に引っかける。このとき、そのヒキテ先の輪でもって、向こうがわのハミガネ根もとの輪、ヒキテ根もとの輪、カガミの軸(前方の上部)とに、それぞれ絡み合うようにして止める。

 

 

四の二 轡[兎、花車]

馬酔木、楓、竹島百合、都忘れ

 

「花車」は、百花斉放いっせいに咲き誇ったたくさんの花々を、箱や籠に挿して優美に飾りつけた車を見立てたもの。まず、タコガシラの輪の先が外側に向くように、轡のカガミを両方とも垂直に立てて花車の車輪とする。このとき、 花車の器に見立てるハミガネを、三角の形でもって後方内側にしまい込むように、かつ先端が上に向くようにして組む。そして、二つのヒキテを、それぞれカガミ(タコガシラ側、後方の上部穴)の穴から内側に通して、向こうがわのカガミ(ハミガネ側、前方の上部穴)に引っかける。このときのヒキテは、ハミガネの下を通っていく。また、そのヒキテ先の輪でもって、向こうがわのハミガネ根もとの輪、ヒキテ根もとの輪、カガミの軸(前方の上部)とに、それぞれ絡み合うようにして止める。   「兎」は、轡のハミガネを兎の頭に、カガミを胴体に、そしてタコガシラを前足に、ヒキテを両耳に見立てたもの。まず、タコガシラの輪の先が下にくるようにカガミを裏向けにし、両方のカガミを内側半分ずつ重ね合わせる。このときハミガネを三角の形でもって、タコガシラ側に向け、兎の頭とする。そして、両方のヒキテを兎の両耳として、カガミ(タコガシラ側、重なっている前方のカガミ穴)の下より上に引き上げて、兎の頭であるハミガネ三角のところに、それぞれヒキテを左右交差させて組む。

 

 

四の三 轡[水鳥、浮蛙]

杜若、シペラス、なでしこ

 

「水鳥」は、水の中に首を入れて、餌を探しながら泳いでいる水鳥の姿を現したもの。轡のハミガネを水鳥の頭に、カガミを胴体に、そしてタコガシラを尻尾に、ヒキテを両足に見立てる。まず、タコガシラの輪の先が上にくるようにカガミを表向けし、両方のカガミを内側半分ずつ重ね合わせる。このときハミガネは三角の形でもって、下に向くようにし、水鳥の頭が水中にある様を現す。そして、両方のヒキテを、カガミ(タコガシラ側、重なっている後方のカガミ穴)の上から下に引き通して、タコガシラの輪の下にくるように、それぞれヒキテを左右交差させて据える。  「浮蛙」は両手を伸ばし、両足で水を勢いよく蹴って浮いている蛙の姿を現したもの。轡のハミガネを蛙の頭に、カガミを胴体に、そしてタコガシラを両手に、ヒキテを両足に見立てる。まず、タコガシラの輪の先が下にくるようにカガミを裏向けにし、両方のカガミを内側半分ずつ重ね合わる。このときハミガネを三角の形でもって、タコガシラ側に向け、蛙の頭とする。そしてヒキテは、蛙が水を蹴って両足を伸ばしている様を現すように、後方へと流し据え置く。

 

 

四の四 轡[掛轡、亀]

太藺、なでしこ、都忘れ、なつはぜ、ブバルディア

 

「掛轡」は、広口や馬盥の縁に掛けて据え置く使い方。轡の一方のカガミを器の隅に安定するように置き、このヒキテは器の中に入れておく。そして、もう一方のカガミを器の外側に立て掛けて据え、このヒキテは全体のバランスがとれるように用いる。   「亀」は、轡のハミガネを亀の頭に、カガミを甲羅に、そしてタコガシラを後足に、ヒキテを前足に見立てたもの。まず、タコガシラの輪の先が下にくるようにカガミを裏向けにし、両方のカガミを内側半分ずつ重ね合わせる。このときハミガネを三角の形でもって、前方外側に飛び出すように向け、亀の頭とする。そしてヒキテを、カガミの下で左右交差させ、ヒキテ先の輪を前方外側に出して、亀の前足とする。手足ともに短い亀の姿を現すものなので、タコガシラ・ヒキテともに短く見せておく。

 

 

四の五 轡[御所車、花車、水鳥(水陸草物)、兎(陸草物)、亀(水陸草物)、浮蛙(水草物)、掛轡]

寒桜、あきぎり、すすき、藤袴(赤、白)、杜若、布袋草、ダリア

 

 

四の六 轡[亀、兎、水鳥]

木賊、藤袴、杜若、行李柳、椿、ヤブサンザシ、菊、万年青

 

 

四の十 飾り石[三石(天石、地石、人石)(守護石、礼拝石、安居石)](客位)

芦一色(主位)

 

「天石」は天の位にして陽であり、万物を守護する意でもって「守護石」ともいう。この天石には、天に向かって堂々と屹立した形の石を選んで用いる。「地石」は地の位にして陰であり、天石を拝することから「礼拝石」ともいう。この地石には、平たい形をもった石を選んで用いる。「人石」は、天と地の和合によって生じた和合石であり、人の位にして陰陽和合である。天と地の下で安らかに住する意でもって「安居石」ともいう。大きくも小さくもない中庸の、不立不臥の姿をもつ石を選んで用いる。

 

 

四の十一 飾り石[五石(天石、地石、人石、陰石、陽石)](客位)

糸すすき、藤袴、たで、水引草(赤)、ほととぎす、ハシカンボク(別名:野海棠)、大文字草、梅ばち草、花らっきょう(主位)

 

天地人の三石に、二石を加えて五石飾りとするとき、あとの二つの石は、本末を示す「陰石」と「陽石」である。この陰陽の二石は左右対称する石であり、日本という国土創造の二つの神を現すことから「二神石」ともいう。大小、高低、そして左右対称する姿をもつ石を、陰石・陽石としてそれぞれ用いる。

 

 

四の十二 飾り石[七石(天石、地石、人石、陰石、陽石、不動石、客珠石)]

万年青

 

天地人陰陽の五石に、さらに二石を加えて七石飾りとするとき、加える二つの石は「不動石」と「客珠石」である。「不動石」は不動として、天石である守護石の後ろ盾となる石である。この不動石は、天という真理の内奥にある「未生」の姿と捉えることができる。すなわち視覚に現すことのできないものを、形として示す「大虚」である。また、「客珠石」は、人石である安居石と相対する石であり、安居石の客座として定まったものである。

 

 

四の十三 飾り石[七石(天石、地石、人石、陰石、陽石、不動石、客珠石)]

秋の七草 — 女郎花、すすき、桔梗、なでしこ、藤袴、葛、萩

 

 

四の二十 五徳留め

 

 

四の二一 五徳留め、蟹[上り蟹(陽)(客位)]

馬酔木、ヤブサンザシ(主位)

 

主位の花(陰の花)を挿けるときには、花留の蟹を客位「陽の上り蟹」とする。「陽の上り蟹」とは、背中(陽・表)を見せて、向こうを向く蟹である。

 

 

四の二二 蟹(大)[上り蟹(陽)(客位)]、蟹(小)[下り蟹(陰)(主位)]

山鬼灯(主位)、なでしこ(客位)

 

主位の花(陰の花)を挿けるときには、花留の蟹を客位「陽の上り蟹」とする。「陽の上り蟹」とは、背中(陽・表)を見せて、向こうを向く蟹である。一方、客位の花(陽の花)を挿けるときには、花留の蟹を主位「陰の下り蟹」とする。「陰の下り蟹」とは、腹(陰・裏)を見せて、手前を向く蟹である。

 

 

五の一 沖往来の船(唐船・出船)、沖往来の船(出船)、掛り船、渚往来の船(入船)、停り船、置き船

水仙、藤袴、蔓梅擬、忍冬(別名:すいかずら)、なでしこ、菊、貝塚伊吹、やまぼうしの実、スモークツリー、谷渡、松、すすき、杉、百両(別名:からたちばな)、シンフォリカリポス

 

「沖往来の船」(舟の三景)は、遙か沖合を航行する船の姿を見立てる。帆を大きく張って風力によって航行するので、船を漕ぐ櫓は使われることはなく海上よりも上にある。そのため、船を漕ぐ櫓を現す「艫花」である横姿の花は、船花器より下がりすぎないようにする。そして、「帆花」を立姿にして挿ける。遠景の様を移したものであるので、花は「帆花」「艫花」ともに霞花の風情で、かすんで見えるように挿ける。尚、ここでの沖往来の船(出船)は、はるか遠方の景である「唐船」よりも高く釣り、よって横姿の「艫花」を完全にかすんで見えないものとして見立てている。   「渚往来の船」(舟の三景)は、陸近くを航行する船の姿を見立てる。船の帆を現す「帆花」を立姿に、そして船を漕ぐ櫓を現す「艫花」を横姿にと、この「帆花」「艫花」ともに形・法格をしっかり守って挿ける。艫を漕いで進む船の姿を現すものであるので、「艫花」は船底よりも下げて挿ける。   「掛り船」(舟の三景)は、沖合に船の碇を下ろして、停まっている姿を見立てる。このとき、船の帆は下ろし、また櫓も船中に上げてあるので、よって「帆花」「艫花」ともに挿けることはない。碇を下ろしている姿を現すものの、水中にある碇は見えることはない。また船が魚を捕るために下ろしている網も、水中にあるので見えない。ただ、これらの姿を心眼でもって見てとり、「網花」という花を挿ける。「網花」の花は、船花器の後ろ向こう側より、船底を潜らせて手前へ降り出して挿ける。

 

 

五の二 沖往来の船(唐船・出船)、沖往来の船(唐船・入船)、沖往来の船(出船)、掛り船、渚往来の船(入船)、停り船、置き船

杜若、孔雀草、蔓梅疑、風船かずら、東雲ほととぎす、貝塚伊吹、伽羅木

 

常の船を現す「常船」に対して、「唐船」は、大海を行き交う唐風の大船で、大きな房がついた豪華な船である。「唐船」に花を挿けるときには、房を邪魔することのないように、船を漕ぐ櫓を現す横姿の「艫花」を挿けることはない。「唐船」は外国の船であるので、遠景の景色を移しとるため、最も高く釣って用いる。   沖(陽)に向けて帆を張り、「帆花」を立姿に、そして「艫花」を横姿に挿けた船を「出船」といい、港を出て航行する船を現す。一方、渚(陰)に向けて帆を張り、「帆花」を立姿に、そして「艫花」を横姿に挿けた船を「入船」といい、港へ帰ってくる船を現す。   「停り船」は、船が港近くで停船している姿を見立てる。このときの船は、帆を下ろして、船を漕ぐ櫓も上げているので、よって「帆花」「艫花」としての花は挿けない。その代わりに、船首である舳先の方へ横姿を一株挿けて、櫓を上げて船が停まっている姿を現す。   「置き船」は、陸に引き上げられた船を見立てる。碇・鎖・花台・敷板を使って据え置き、船の帆を現す「帆花」を立姿にして一株挿ける。また、半横姿の花をもう一株挿けて、船中に引き上げられた櫓を現しても構わない。

 

 

五の三 置き船(和物・籠船)、釣り船(唐物・銅船)

屋久島すすき、下野、縞すすき、ミシマサイコ、吾亦紅、深山りんどう、ほととぎす

 

「銅船」は、船の形をした銅製の器で、釣紐が鎖になっており、竹の船よりも少し小さい船である。そのため、この「銅船」には、きゃしゃな花を小振りに挿ける。船中の板より水が上がってしまえば船は沈んでしまうことから、中にある板銅より上に水を足してはならないとされている。

 

 

五の四 置き船(常船)

這柏槇(別名:そなれ)

 

「常船」は、船首である舳先がとがり、船尾である艫が切ってある、海上を行き交う普通の船を象ったものである。   「置き船」は、陸に引き上げられた船を見立てる。碇・鎖・花台・敷板を使って据え置き、船の帆を現す「帆花」を立姿にして一株挿ける。また、半横姿の花をもう一株挿けて、船中に引き上げられた櫓を現しても構わない。

 

 

五の五 大釣り船(銅船)

談山神社 拝殿(朱塗舞台造)回廊   まるばのき(別名:秋万作)、ゆうすげ、類葉牡丹の実

 

 

五の六 砂張釣舟花入

 

室町時代の後期に流行した、砂張の釣舟花入である。砂張は、銅90%と錫10%の合金で、その配合具合によって色合いに微妙な変化が生じる。鋳造の鋳上がりの後に、表面を打ちたたいて味をつけて形付ける、よって若干薄手のものとなる。砂張の釣舟花入で、「天下三舟(淡路屋舟、針屋舟、松本舟)」、それに加えて「天下五舟(平舟・茜屋舟)」が大名物とされている。この釣舟花入は、幅が広く雄大な美をもつ天下三舟の「針屋舟」の写しである。 

 

 

五の十 井筒附の釣瓶[釣瓶(上-角-陽)・釣瓶(下-平-陰)]

萩、桔梗、えのころぐさ、すすき、女郎花、吾亦紅

 

「井筒附の釣瓶」は、井筒の後方の木に取りつけた滑車に釣瓶縄をかけて、釣瓶を上から吊るし、そしてもう一つの釣瓶を井筒の上に置いて用いたものである。このとき、二つの釣瓶を釣瓶縄で互いに結び、途中で後方の木にも絡みつかせることで上の釣瓶を安定させる。「角」をみせた「陽」の釣瓶は上に吊り、ここには垂物の花を横姿にして挿ける。そして「平」にした「陰」の釣瓶は井筒の上に置き、ここには立姿の花を挿ける。上の釣瓶に主位の花を挿けたときには下の釣瓶は客位の花とし、上の釣瓶に客位の花を挿けたときには下の釣瓶は主位の花とする。井戸より上に上げられた方の釣瓶は水が入っておらず、空の状態になっている。よって、上の釣瓶の水が見えないように注意する。一方、下の釣瓶は四季に応じて足し水をする。

 

 

五の十一 井筒附の釣瓶[釣瓶(上-角-陽)・釣瓶(下-平-陰)]

蔓梅擬、菊、玉しだ、ヤブソテツ

 

 

五の十二 井筒附の釣瓶[釣瓶(上-角-陽)・釣瓶(下-平-陰)][桶、盥、手水壺(銅)、和傘]

  あけび、木賊、時計草、女郎花、すすき、桔梗、藤袴、萩、日蔭の蔓

 

 

五の十三 置釣瓶  [釣瓶(上-角-陽)・釣瓶(下-平-陰)]、釣瓶縄(左旋-陽)

行李柳、なでしこ

 

「置釣瓶」は、釣瓶を二つ重ね置いて用いる。上の釣瓶は「陽」として「角」を見せ、下の釣瓶は「陰」として「平」に置く。天をはじめ物質の上方は陽性であり、一方、地をはじめ物質の下方は陰性であることによる。上(陽)の釣瓶には向こうの角より花を立姿にして挿け、下(陰)の釣瓶には手前の角より花を横姿にして挿ける。置釣瓶の敷物としては、井戸に使う滑車や釣瓶縄を用いる。陽性である天円は左旋し、陰性である地方は右旋する。上の釣瓶に主位(陰性)の立姿の花を挿けたとき、敷物にする釣瓶縄は内側から時計回りに、左旋(陽性)に巻いて用いる。一方、上の釣瓶に客位(陽性)の立姿の花を挿けたとき、敷物にする釣瓶縄は内側から反時計回りに、右旋(陰性)に巻いて用いる。

 

 

五の二十 花車

紅葉、紫陽花、アンスリウム、鶏頭、ノイバラの実

 

 

五の二一 花衣桁  

[神鏡、払子、青磁香炉、砂張釣花入(真)、白磁広口(真)、しゅみ竹花入(草)、木胎拭漆器(草)]

さんきらい(別名:サルトリイバラ)、藤袴、サルビア、吉祥草、水仙

 

 

五の三十 卓(すす竹、青磁香炉)

杜若

 

「卓」は万物の根源である一なる「太極」から、天地・陰陽という「両儀」へと開いた状態を現す。「太極」から「両儀」へと変化したとき、「暖」の気は昇って天となり、一方「寒」の気は降りて地となった。よって、天板には陽性である火を置き、一方の地板には陰性である水を置く。つまり、「卓」の天板には火を用いる香炉を飾り、一方の地板には水が入った花瓶を置いて花を挿ける。

 

 

五の三一 卓(真竹、銅香炉)

芦、蓮(立葉、浮葉)

 

卓には、宇宙の間にはじめて一物が生じた姿にして花を挿ける。理念である体を「性」といい、働きである用を「情」という。この性情という、根本的な成り立ちとその働きに想いをかたむけ、四方に障りがないように、陰陽和合・虚実等分・天地自然の理を感じて花を挿ける。

 

 

五の三二 四柱卓(根来塗、銅香炉、銅花器)

水仙

 

卓の正式な真の卓は四つの柱をもつもので、この柱でもって東西南北の四方を現す。二つの柱の卓は、略式のものである。正式な卓である四柱卓で真の飾りを行うときは、四季通じて芦を用いることとされている。

 

 

五の四十 屏風飾り[籠花入(蛇籠、魚籠、落葉籠、鉈鞘籠)、竹花入(尺八)、手附銅器]

 

野竹、りんどう、こえびそう(別名:ベロペロネ)、萩、サルビア、蔓梅疑、しらさぎかやつり(別名:しらさぎすげ)、まつむらそう、なでしこ、ほととぎす、小菊、猫の髭、うつぼ草、やぶ蘭、きんらんじそ(別名:コリウス)、秋明菊、にがうり(別名:ゴーヤ)、破れ傘、梅ばち草、じゅずさんご、檜扇の実

 

 

五の四一 花屏風、盛り物飾り[煎茶荷籠、提藍]

[急須、涼炉、炉台、鳥府(炭取)、火箸、炉扇、瓶敷、茶心壺(茶入)、仙媒(茶合)、水注、巾盒、茶巾、箸瓶、茶夾、急須、急須台、茶碗、茶托、煎盆、一文字盆、滓盂、納汚(建水)、洗瓶]

蝦夷りんどう、桜たで、なでしこ、丹後さらしなしょうま、ほととぎす、桔梗、とりかぶと、りんどう、鶏頭、吾亦紅、大文字草、桑の実、栗

 

煎茶荷籠 - 煎茶道具一式を納めて携行するための、一対の容納具。   提藍 - 主に野点で用いるもので、煎茶道具一式、または酒飯の類いを収納するもの。

 

 

 

五の四二 盛り物飾り[器局]

[急須、涼炉、炉台、茶心壺(茶入)、仙媒(茶合)、水注、巾盒、茶巾、箸瓶、茶夾、急須、急須台、茶碗、茶托、煎盆、一文字盆、滓盂、納汚(建水)、洗瓶、茶具褥(茶具敷)]

万年青、百合根、松、柚子、柿、栗、石榴、あけび、ぶどう、さんきらい(別名:サルトリイバラ)

 

器局 - 室内において、煎茶道具一式を収納するための、前扉つきの容納具。

 

 

五の四三 盛り物飾り[行器]

いがぐり、からす瓜、松茸、錦木、ノイバラの実、蔓梅疑、嵯峨菊、りんどう、ひごたい、野紺菊、アスター、菊、スプレー菊、鶏頭、木苺、コスモス、吾亦紅、なでしこ、貝塚伊吹

 

行器 - 酒飯の類いを納めて携行するための、一対の容納具。

 

 

五の四四 盛り物(談山神社・談い山)

松、石榴、柚、花にら、キュウリ、パプリカ、ゴーヤ、白なす、瓜、賀茂なす

 

 

五の五十 筧

行李柳、日蔭の蔓、しらさぎかやつり(別名:しらさぎすげ)、木賊

 

筧 – 自然から水を引いてくるために設けられたもの。竹柱を立てて、その上に木片の駒頭(こまがしら)を付け、先端に水口となる竹筒を取り付ける。

 

 

五の五一 歌花筒(ゴマ竹)、 螺鈿広口

紅葉、杜若、水仙、鶏頭、ほととぎす、野海棠(別名:ハシカンボク)、大文字草(白糸の滝)、日蔭の蔓、菊、冬の花わらび

 

歌花筒は、竹筒に切れ込みを入れて、上部に短冊や扇子を飾り付けることができるようにしたもので、下筒には花を挿ける。短冊や扇子の書・画は、そのときの時候や行事に合うものを用いる。掛物に画いてある花や花の辞を避けて、草花を挿ける必要がある床の間の扱いを「真」とするならば、歌花筒は「草」の扱いで用いて構わない。野外の野点における、略式の床の間とも捉えることができる。   広口に加飾されている螺鈿は、夜光貝・あわびなどの貝類を板状にして、文様に切り取って貼り付けたものである。

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